FileMakerの「マスター詳細レイアウト」とは?
FileMakerで一覧(マスター)とその詳細画面を同じレイアウト上で扱える「マスター詳細レイアウト」は、とても便利な機能です。ただ、最初に触れるときは「ポータルと何が違うの?」「どこから作り始めればいいの?」と迷いやすいポイントでもあります。
この記事では、できるだけ専門用語を避けながら、FileMaker初心者の方でも分かりやすいように、マスター詳細レイアウトの基本的な考え方と、実際の作成手順を整理して解説します。
マスター詳細のイメージをつかもう
マスター詳細レイアウトは、画面の左側に「一覧」、右側に「選んだデータの詳しい内容」という構成を1画面にまとめたようなイメージです。
- 左側:たくさんのレコードをリスト形式で表示(マスター)
- 右側:左側で選んだ1件分の詳細情報を表示(詳細)
例えば「顧客一覧」が左、「選択した顧客の住所や購入履歴など」が右に表示されるような画面です。画面を行き来せずに、一覧を上下に動かしながら内容を確認できるので、日常的な業務でとても使いやすくなります。
準備:テーブルとレイアウトの基本を確認
マスター詳細レイアウトを作る前に、次の2点を軽く確認しておきましょう。
- テーブルが1つ決まっているか
顧客レイアウトなら「顧客テーブル」、商品レイアウトなら「商品テーブル」のように、どのテーブルを元にするかを決めておきます。 - 基本的なレイアウト作成になれているか
すでに「フォームビュー」で1件ずつ表示するレイアウトを作ったことがあると理解しやすくなります。
マスター詳細レイアウトは、同じテーブルのデータを「一覧」と「詳細」の2つの見え方で同時に表示するイメージです。
ステップ1:新しいレイアウトを作成する
まずはマスター詳細用の新しいレイアウトを作りましょう。
- メニューから「ファイル」→「管理」→「レイアウト…」を開きます。
- 「新規レイアウト/レポート」をクリックします。
- レイアウト名(例:顧客マスター詳細)を入力し、基準にするテーブル(例:顧客)を選びます。
- レイアウトの種類で「フォーム」もしくは「空白レイアウト」を選択し、「コンピュータ」を選んで作成します。
ここでは細かいデザインよりも、「マスター(一覧)」と「詳細」のスペースを分けて作れる広めのレイアウトを用意することが目的です。
ステップ2:マスター(一覧)部分を作成する
次に、左側に「マスター(一覧)」を表示するエリアを作っていきます。
- レイアウトモードに切り替えます(ステータスツールバーから切り替え可能)。
- 左側に縦長のスペースをとり、そこに「ポータル」ツールを配置します。
- ポータルの設定で、表示するテーブルオカレンス(「顧客」など)を選びます。
- 一覧で表示したいフィールド(顧客名、顧客ID、電話番号など)をポータル内に配置します。
FileMakerの標準的な「マスター詳細パターン」では、ポータルを使わずにリストビューを使う方法もありますが、ここでは初心者の方にも分かりやすいポータルを使った一覧の例で説明しています。
ステップ3:詳細表示エリアを作成する
続いて、右側に「詳細」エリアを作ります。
- 左のポータル部分と被らないように、右側にフィールドを並べるスペースを確保します。
- 「フィールド」ツールから、顧客名、住所、電話番号、メールアドレスなど、詳しく表示したい項目を配置します。
- ラベル(フィールド名)や線、枠などを使って、見やすく整理します。
ここで配置するフィールドは、左の一覧と同じテーブルのものです。左で選択したレコード1件分が、この右側に反映される形になります。
ステップ4:一覧をクリックしたら詳細が切り替わるようにする
マスター詳細レイアウトのポイントは、「左の一覧でクリックした行の内容が、右の詳細に反映される」ことです。基本的なやり方は次のどちらかになります。
- 行をクリックしたら、そのレコードに移動するスクリプトを動かす
- ポータルの行をクリックしたときに、その行が選択状態になるようにする
簡単な方法としては、ポータル内のテキストに「ボタン設定」を行い、「ポータル行へ移動」スクリプトステップを指定しておくやり方があります。
- レイアウトモードに切り替えます。
- ポータル内の「顧客名」など、クリックしやすいフィールドを選びます。
- 右クリック(またはメニュー)から「ボタン設定…」を選びます。
- 動作として「単一ステップ」を選び、「ポータル行へ移動」を設定します。
これで、一覧の行をクリックすると、そのポータル行が選択され、その行に対応するレコードが「現在のレコード」として右側の詳細エリアに表示されるようになります。
ステップ5:使いやすさを整えるポイント
基本の動きができたら、実務で使いやすいように少しずつ調整しましょう。
- 一覧に検索用のフィールドを追加
顧客名やIDなどで絞り込めるように、上部に「検索用のグローバルフィールド」をおき、スクリプトで絞り込むと便利です。 - 選択中の行を目立たせる
条件付き書式を使って、選んでいるレコードの行の色を変えると、今どれを見ているかが一目で分かります。 - 新規/編集/削除ボタンの配置
画面上部や下部に、「新規登録」「編集」「削除」などのボタンをまとめて配置すると、迷わず操作できます。
マスター詳細レイアウトを使いこなすコツ
マスター詳細レイアウトをうまく活用するコツは、「頻繁に画面を切り替える操作を1画面にまとめる」という発想で設計することです。
- 顧客の一覧と顧客の詳細
- 商品一覧と商品の詳細
- 案件一覧と案件の詳細
このような業務画面では、マスター詳細レイアウトを1つ用意しておくだけで、日々の操作がかなりスムーズになります。慣れてきたら、タブパネルやスライドコントロールを組み合わせて、「詳細エリアをタブで切り替える」といった応用も可能です。
最初はシンプルに、「一覧」と「詳細」が連動するところまでを確実に作り、その後少しずつ機能を追加していくと、レイアウト崩れや動作不良も少なく、安心して使える画面に仕上がります。